平成１８年５月１日　（新）会社法　施行。　知っ得！聞い得！納得！！　これで安心、我が社の将来。

“新”会社法は、今回の大改正により現在の「商法(第２編)」「有限会社法」「商法特例法」が１つの法律に統一化されます。

そして、会社法のスタートにより有限会社という会社の形態がなくなり、株式会社に一本化されます。したがって、会社法施行日(Ｈ18･5･1)以降は、有限会社を設立することは出来ません。但し、従来の有限会社法による経営を継続したい場合は、「特例有限会社」として存続します。

特例有限会社は、いつでも株式会社に変更できますが、いったん株式会社に変更してしまうと、特例有限会社に戻ることはできませんので総合的に検討が必要です。また、施行日後は設立済みの有限会社は原則、株式会社として会社法が適用されます。

“新”会社法は、中小企業の個性に合わせて「定款自治」の範囲が広がり日本の大部分を占める中小企業の実態を踏まえた規制緩和がなされています。また、条文もカタカナ表記されていましたが、“新”会社法ではひらがな化され読みやすくなり、枝番条文もなくなります。

【旧法】　　　　　　　　　　　　　　　　【新法】

株式会社　１０００万円　　　→　　新会社法　最低資本金制度の撤廃

有限会社　　３００万円　　　→　　同上

最低資本金制度の特例　　　　　　　　　　　　　(1円からの設立)

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同一市区町村内において、既にＡ会社という商号の会社が登記されている場合、それと同一の事業目的のためにＡ社という商号を使用してはならないとされていました。新会社法では、前文の類似商号規制は廃止されることになります。

※注意：会社の目的のいかんにかかわらず同一住所、同一商号の登記はできません。（商業登記法27条）

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特例有限会社として存続する場合は、新たに登記手続を行う必要はありません。

しかし、施行後に特例有限会社から株式会社に移行する場合、有限会社から株式会社への商号変更の登記が必要です。商号変更について定款の変更を株主総会で決議後、本店所在地については２週間以内、支店所在地については３週間以内に、株式会社設立登記申請と特例有限会社解散登記申請を同時に行う必要があります。

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特例有限会社から株式会社に移行した場合、商号の異動により税務署や都道府県税事務所、市町村役場には組織変更に伴う「異動届出書」を提出します。また、税務上の事業年度は継続し、移行日で区切って法人税等の申告をする必要はありません。

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総会で商号変更について定款変更の決議（特別決議）

　　　　　　　　　　↓

　　　株式会社の定款作成（認証不要）

　　　　　　　　　　↓

特例有限会社の解散登記と株式会社の設立登記（同時に行う）

　　　　　　　　　　↓

　　　　株式会社への変更登記完了

　　　　　　　　　　↓

税務署や都道府県税事務所、市町村役場には組織変更に伴う「異動届出書」を提出

※定款変更の決議から、本店所在地については２週間以内、支店所在地については３週間以内に、登記申請を行う必要があります。

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有限会社を廃止し、株式会社に一本化され、有限会社の機関設計を引き継ぐ形の株式譲渡制限会社(株式の全部について譲渡制限を付している会社)において、「取締役1人と株主総会」が基本の組織となります。その後は、会社の規模や成長により必要に応じて取締役会や監査役等を任意に設置すればよいことになりますが、機関設計には様々な選択方法が有る事から慎重に検討する必要があります。※株式譲渡制限をしない会社は、取締役会の設置は必須。

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公開会社は、その発行する全部または一部の株式に譲渡制限がない会社をいいます。。

株式譲渡制限会社は、その発行する全部の株式に譲渡制限がある会社をいいます。株式を譲渡するには取締役会又は株主総会の承認を要します。

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【取締役会を設置していない会社】

株主総会は、会社法に規定する事項および株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができます。

【取締役会を設置している会社】

株主総会は、会社法に規定する事項および定款で定めた事項に限り、決議することができます。

【定款の効力】

株主総会の決議を必要とする事項について、取締役会その他株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、効力を有しません。

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株主総会には、定時株主総会と臨時株主総会があり、前者は、毎事業年度終了後、一定の時期に召集しなければならず、後者は、必要がある場合には、いつでも招集することができます。また、招集手続きは、公開会社と株式譲渡制限会社で違いがあり、さらに、株式譲渡制限会社については、取締役会設置会社と非設置会社によっても異なります。

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取締役会を設置しない株式会社の株主総会(従来の有限会社の社員総会に類似)では、商法及び定款に定めた事項に限らず、会社の一切の事項について決議することができます。その反面、株主の権限が強大化し外部株主がいる場合、関係が悪化したとき会社経営に支障をきたすおそれがあります。但し、取締役会を設置する株式会社において、株主総会で決議できる事項は、会社法または定款に定められた事項に限られます。また、決議には、普通決議・特別決議・特殊決議があります。

普通決議･･･議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数で決議。

特別決議･･･議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(定款で３分の１以上の割合とした場合、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の３分の２(定款でこれを上回る割合とした場合、その割合)以上で決議。定款変更・事業譲渡・解散決議・組織変更・資本減少・現物配当・株式併合・特定の者から自己株式の取得など。

特殊決議･･･特別決議よりも更に重い決議要件を必要とする株主総会決議のこと。議決権を行使することができる株主の半数(定款でこれを上回る割合とした場合、その割合)以上かつ、その株主の議決権の３分の２(定款でこれを上回る割合とした場合、その割合)以上で決議。譲渡制限を付する定款変更等の決議など。

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株式譲渡制限会社のうち、取締役会を設置しない会社については、取締役は1人からでよいことになります。但し、取締役会設置会社においては、取締役は３人以上でなければなりません。 会社法による任期については、原則２年ですが、株式譲渡制限会社では、定款で定めるところにより、最長１０年まで任期を伸長することができます。 特例有限会社においては、取締役の任期についての定めはありません。解任の決議要件は、普通決議としています。累積投票によって選任された取締役の場合は、特別決議が必要です。

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株式譲渡制限会社に限り、取締役は株主に限定するという定款を設けることができる。また、取締役が破産宣告を受け復権していない場合でも、新会社法では欠格事由となりません。

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任務懈怠責任(役員等とは取締役・会計参与・監査役・執行役又は会計監査人)役員等は、その任務を怠ったときは、会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。その責任は、総株主の同意がなければ免除することができません。 しかし、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、株主総会の決議によって責任の一部免除することができます。

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利益相反取引とは,取締役が自己の地位を利用し、自己または第三者に利益をもたらす取引のこと。 取締役の利益相反取引についての、会社に対する責任は、無過失責任から原則、過失責任となります。

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株式譲渡制限会社においては、取締役会の設置は任意になります。但し、公開会社・監査役会設置会社・委員会設置会社は取締役会を置かなければなりません。

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大会社でない株式譲渡制限会社は、監査役は置かなくてもかまいません。 監査役は原則として業務監査権限と会計監査権限を有することになります。大会社でない株式譲渡制限会社については、定款により会計監査権限に限定することができます。なお、監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上でそのうち半数以上は社外取締役でなければなりません。

会社法による任期については、原則４年ですが、株式譲渡制限会社では、定款で定めるところにより、最長１０年まで任期を伸長することができます。 特例有限会社においては、監査役の任期についての定めはありません。 解任の決議要件は、特別決議としています。

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会計参与とは、会社法により新たに創設された株式会社の任意の内部機関です。 会計参与は、公認会計士又は税理士の資格を持つ者と取締役が共同して計算書類を作成します。会計参与の氏名又は名称は登記事項になります。

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定款は会社の憲法ともいわれ、会社の組織・運営の基本的なルールを明文化したものです。会社を設立する際は、定款を作成し、必ず公証役場で認証を受けなければなりません。また、定款変更するには、株主総会の特別決議を要します。今後は、定款で決められる範囲(定款自治)の拡大により、会社経営に大きな影響を及ぼす 事項を決定することができ、規定の見直しや株主・債権者からの閲覧請求への対応が求められます。したがって、従来のような認証後、定款のおざなり状態は許されなくなります。

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新たに定款を作成する必要はなく、自動的に特例有限会社の定款とみなされます。 ただし、一部別段の定めがある場合には、登記が必要になります。

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会計参与は、会社法により新設された株式会社の内部機関で定款で任意に設置することができます。会計参与は、公認会計士(監査法人を含む)又は税理士(税理士法人)に限られ、設置した場合には会計参与の氏名や名称が登記事項となります。経理の専門家である会計参与が取締役と共同して計算書類を作成することになり、金融機関や株主からの信頼性を確保できます。しかしながら、会計参与と取締役の意見が一致しない場合、計算書類を作成できません。また株主総会も開催できない という事態に陥ることになります。会計参与を置く会社又は置こうとする会社は、その点への対処も考えて置かなければなりません。

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株主の責任は、所有する株式の引受価額を限度とされ、出資していた株式会社が倒産した場合でも、債権者に対してそれ以上の責任を負うことはありません。

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株主は、所有する株式につき、次の権利を有します。

�@剰余金の配当を受ける権利

�A残余財産の分配を受ける権利

�B株主総会における議決権

�C会社法の規定により認められた権利

なお、�@と�Aの権利の全部を与えない旨の定款の定めは、認められません。

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株式会社は、株主を、所有する株式の内容及び株数に応じて、平等に取り扱わなければなりません。

例外として、公開でない株式会社は、上記�@から�Cの権利について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができます。

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株主総会において、議決権を行使できる事項について制限のある種類の株式をいいます。

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株式発行会社が公開会社である場合において、旧法同様、会社法においても、議決権制限株式の数が発行済株式総数の２分の１を越えることはできません。また、越えるに至ったときは、直ちに、それ以下にするための措置が必要となります。

株式譲渡制限会社においては、議決権制限株式の発行限度がなくなりました。

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商法上、必ず発行しなければならないとされていた株券ですが、会社法では、株式会社は、株式に係る株券を発行する旨を定款で定めることができます(株券発行会社)。 つまり、発行の原則から不発行の原則に変わることになります。なお、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、株券を発行しないことができます。 また、会社法施行前に株券を発行している会社は、継続して株券発行会社とみなされます。

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�@第三者割当

　株式譲渡制限会社における第三者割当てによる新株発行のための総会特別決議と有利発行特別決議が一本化されます。 　また、払込期日に代えて払込期間を定めて、当該期間内に払込がされた場合、その払込の日から株主となります。

�A株主割当

　旧法での新株引受権譲渡及び新株引受権証書制度は、新会社法において新株予約権及び新株予約権証券制度に吸収して整理されます。また、株主に対して、無償で新株予約権を発行する制度が設けられます。株式譲渡制限会社における株主割当について、原則として、株主総会の決議により新株発行事項の決定を 　行うことになります。但し、定款に定めがあるときは、取締役会で決定することができます。

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配当を行うには、資本金の額にかかわらず、純資産額(貸借対照表の資本の部)が300万円未満の場合、剰余金があってもこれを株主に分配することはできません。 配当する金額は分配可能額を超えてはならないと定められています。分配可能額を超えて分配等をした取締役等は、その分配した額について弁済責任を負うことになります。 但し、自己の無過失を証明したときは、責任を負わないものとされます。配当の時期について、株主総会の決議によって、期中何回でも自由に剰余金の分配を行うことができるようになります。(法施行前は年２回制限) 配当財産について、株主総会の決議によって、金銭以外の財産を配当とすることができます。 また、税務面において、株主と役員が同じような場合、配当と役員報酬との税負担の検討も必要になります。

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株式会社は、相続等の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し、その株式を売り渡すように請求することができる旨を定款で定めることができます。 定款にこの規定がある場合、株式会社は、売渡請求の都度、株主総会の決議によって、�@請求する株式の数�Aその株式を有する者の氏名又は名称を定めなければなりません。一般承継により取得し株主になった者は、その株主総会において議決権を行使することはできません。

当該株式会社は、相続等の一般承継があったことを知った日から１年以内に売渡しの請求が必要です。株式会社は、いつでも売渡請求を撤回することができます。売渡請求があった場合の株式の売買価格は、会社と取得した者との協議によって決まります。あるいは、当該株式会社又は取得した者は、売渡請求があった日から２０日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができます。

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最低資本金規制が廃止されたため設立の日から５年以内に増資をする必要がなくなり、登記をすることにより存続させることができます。また、毎年行っていた経済産業大臣への計算書類の提出も不要となります。

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【メリット】

�@取締役・監査役の任期に制限がない。

�A決算広告の義務がない。

�B役員の任期による登記費用の節約。

�C大会社でも会計監査人による監督が不要。

�D休眠会社のみなし解散の適用除外

�E有限会社という商号の希少性

※時の経過により社歴があり、最低限の規模があるとしてプラスの印象に発展する可能性

【デメリット】

�@株式会社のように柔軟な機関設計ができない。(取締役会設置等不可)

�A吸収合併存続会社や吸収分割承継会社になれない。

�B株式交換や株式移転ができない。

�C株式の譲渡制限。

�D会社経営に消極的な印象を持たれるおそれがある。

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